山室のフェイクニュース

酩酊状態で書いてるので自分でもよく分かってません。

納豆チャーハンの話

こんにちは、山室です。

皆さんは「納豆チャーハン」、食べたことありますか?
レシピサイトでもいくつか出てくるので、それほどマイナーというわけでもないと思います。

なぜ突然納豆チャーハンの話をし始めたかと言うと、今食べてるからです。

ご飯を作るのがめんどくさい、材料がない、というときは冷凍ご飯を解凍してチャーハンを作ります。
チャーハンの素は常備してます。
具にするような野菜や肉がないときは納豆をぶち込みます。
納豆は臭いが強いし味もしっかりしてるのでよくわかんないけどちゃんと食べたような気になれます。

要するに簡単に作れて旨くて食べた気になれるのが納豆チャーハンの魅力なのですが、私が納豆チャーハンを作り続けるのにはもう一つ理由があるのです。

 

時は十数年さかのぼります。
私と納豆チャーハンの初めての出会いは多分小学校低学年くらいの初めて行ったラーメン屋さんでのことでした。
その日私は祖父が世話をしていた畑の手伝いに行っていました。
畑は私の実家からも祖父母の家からも車を使わなければ行けない距離で、しかも山の中で、子供ながらに「おじいちゃんは変なところで畑やってんな〜」と思ったような気がします。覚えてないけど。
確かとうもろこしや枝豆、きゅうりなんかを育てていたと思います。
収穫しに行ったのではなく摘果的な、間引き的なことをやっていたような気がします。
ガキンチョだったので土いじりにそれほど興味がなく、祖父の周りをうろちょろしてた気がします。
あと蜂かなんかに追い回されて怖かった。

 

ひとしきり畑仕事を終えた頃にはちょうどお昼時で、家に帰る道中をごはん屋さんを探しながら車でぐるぐるしていました。
今思うと山の合間で飲食店を探してウロウロするってどっかの無謀なバラエティ番組かよって感じですね。
「こんなところで探さないで家の近くで食えばよくね?」と当時の私も思ってた気がしますし、おじいちゃんはもっといい大人だったのでその方が早いし確実だとは気づいていたはずですが、あちこちの角を曲がったり戻ったりして、冒険を楽しんでいるようですらありました。きっと私が畑仕事を手伝いに来たのが嬉しくて楽しい思い出を作ろうとしてくれていたのかも知れません。

そして見つけたのがラーメン屋さんでした。
多分私はラーメンの気分じゃなかったんだと思います。納豆チャーハンを頼みました。
気分じゃなかったという理由よりも「ラーメン一杯は食べきれない」とか「せっかくだから見たことないものを頼みたい」みたいな気持ちがあったような気もします。

『そのときの納豆チャーハンがめちゃめちゃ美味かった』ということだけ覚えてます。
前後の流れは「納豆チャーハン」に至る一連の流れとして覚えているだけなので詳細は覚えてません。
しかもどんな味だったかとかも覚えてません。ただ、美味かった。
なんならどうやって帰ったかも覚えてません。

 

祖父が亡くなってから祖母や母から聞いた話ですが、祖父は古いタイプの「食にうるさい人」だったらしく、子どもたちに変なものは食べさせない、インスタント食品なんかは何が入っているかわからないから許さない、という感じの人だったらしいです。
正直言って納豆チャーハンって変なものだと思います。止められたり、「違うものを頼みなさい」と言われていてもおかしくなかったのではないかと思います。
これも母から聞いた話ですが、祖父は孫たちには甘々だったそうです。実際優しかった。
飲食店で提供されてるものだったということもあるとは思いますが、何より私が「美味しい」と感じていることを大事にしてくれたのかなと今になって思います。

 

その後も、今になっても、入った店で納豆チャーハンがあれば頼んでしまいます。
祖父母の家の近くのラーメン屋さんにも納豆チャーハンがあったので頼んで食べました。
これも美味しかったのですが、おじいちゃんと一緒に食べた納豆チャーハンの味には及びませんでした。
自分でも何度「も」という程ではないですが、作りました。
多分納豆に含まれる旨味成分かなんかのおかげで美味しいんだと思います。
何度食べてもあのときの、名前も覚えてないラーメン屋さんで食べた納豆チャーハンの味を超えないのです。

 

「あのときの味を超えたい。」これが私が納豆チャーハンを作り続ける理由なんですが、目標とする味がどんなだったかも覚えてません。
そもそも超える必要もないのかも知れません。超えるべきでもないのかも知れません。
あれは思い出味。納豆チャーハン思い出味なのかも知れません。
いつかまたあのお店に行って、納豆チャーハン思い出味がどんなだったか確かめたい。
思いの外美味しくないかも知れない。
それなら思い出味のまま、伝説にしておいた方がいいのかも知れない。

 

そんな、納豆チャーハンの話。