CAGEDシステムについて
CAGEDシステムって知ってますか?
あれ便利だなと思ったのでまとめておきます。
今回ももう知ってる人にとっては大して価値のない情報の詰め合わせなので、まだ知らない人や興味がある人は読んでみてください。
はじめに
まずはCAGEDって何かってところから説明しましょう。
「CAGED」というアルファベットはそれぞれコードの名前から来ています。
CはCメジャー、AはAメジャー、GはGメジャー、EはEメジャー、DはDメジャーです。
だからなんだって感じだと思いますけど、前回のカポの話を少し思い出してもらうとピンと来るかも知れないです。
前回のカポの記事では、
カポを付けると0フレットの位置が変わるので、同じ押さえ方でも実際に鳴っているコードが変わる
というような話をしました。
同じ押さえ方で違うコードが鳴る、ということは、違う押さえ方で同じコードが鳴らせるということになります。よね?
記事ではオープンチューニングでのDメジャーの押さえ方で違うコードが鳴っているという例を示しました。確かDメジャーの押さえ方でBbメジャーのコードが鳴っているという話だったと思います。
Dメジャーの押さえ方でDメジャーもBbメジャーも鳴らせるし、Bbメジャーの押さえ方でもDメジャーの押さえ方でもBbメジャーを鳴らせるということです。
ピンと来ましたかね。
オープンチューニングでのCメジャー、Aメジャー、Gメジャー、Eメジャー、Dメジャーってそれぞれ違う形してますよね。
Cメジャーの形、Aメジャーの形、Gメジャーの形・・・それぞれの形で同じコードも違うコードも鳴らせるということになります。
ここまでの話をまとめると、
C、A、G、E、D、それぞれの形で同じコードを鳴らすことも出来る(=一つのコードを五つの押さえ方で弾ける)し、
オープンチューニングのC、A、G、E、Dの形でC、A、G、E、D以外のコードを鳴らすことも出来る
ということになります。
ものすごく断片的ですが、おおざっぱに言うとこれがCAGEDシステムの基本的な考え方です。
これを拡張するとメジャーの三和音以外のコードの押さえ方も分かるし、指板上の音も覚えられるということらしいです。
更に言うと、「メジャーコードの押さえ方」には大抵の場合Rからオクターブ上のRまでの音の位置情報が含まれるので、五つのポジションでのスケールの弾き方も覚えられることになります。
具体的にどういうことか見てみましょう。
まず、Cメジャーから見てみましょう。
Cメジャーというとこの押さえ方を思い出すと思います。
(CMの押さえ方の例)
こういう押さえ方を表す図を「コードダイアグラム」と言いますが、これだと「押さえ方」の情報しかありません。
本当に必要なのは「どの音が鳴っているか」という情報です。
どの音が鳴ってるか示してみるとこうなります。
(「CMの押さえ方の例」の構成音の図)
C、E、Gが鳴っています。
CをルートとするとEは長三度、Gは完全五度です。
この「Cと、Cの長三度であるE、Cの完全五度であるGがなっている」という情報が加えられることで初めて、「この押さえ方によってCメジャーが鳴る」と言うことが出来ます。
ただしこの情報はギター弾きの間では常識のように扱われており、一種の約束事なのでわざわざ書かないでダイアグラム、つまり図だけでコードが示されます。
約束事というのは「ギターのレギュラーチューニング時にのみ成立する」という条件があることを意味します。
これ以外の複弦でフレットがある楽器(例えばウクレレやマンドリン、バンジョーなど)ではレギュラーチューニングがギターとは異なるので音の位置関係も異なります。つまり上のダイアグラムは何の意味もなしません。
メジャーの三和音がR、M3、P5の三つの音で構成されているということは音楽上の原理ですが、その三音が指板のどこに現れるかはギターの公理と言ってよいのでギターの特性を知っていないとうまく使えません。
音の位置関係を知っていないと「押さえ方」という情報しか読み取ることが出来ないので、私のようにUフレットのようなサイトがないと何も出来ない人間になってしまいます。
反対に、ある和音を構成する音が何かを知っていて、且つその楽器がどんなチューニングか分かっていればどんな楽器でも思うがままに弾けるということになるんでしょうね。知らんけども。
話を戻しますが、メジャーの三和音はこの三つで構成されているので、同じ押さえ方(位置関係)でルート音を変えれば違うメジャーコードが鳴るということになります。
前回の話と重なりますが、例えばカポを2フレットに付けて同じ押さえ方をすればDメジャーになるはずです。
また、メジャーの三和音は三つの構成音が鳴ってさえいればいいので、省略することも出来ます。
先ほど例に出したDメジャーコードをCメジャーの形で弾こうとするとします。通常の押さえ方だとカポを付けないと指が足りなくなりそうですが、省略すればカポなしでも弾けると思います。
(こうじゃなくて)
(こうでもいいの図)
Cメジャーの形で違うコードが鳴らせるということは分かったと思います。
次に違う形でCメジャーを鳴らすにはどうするか見てみましょう。
Cメジャーの構成音は何度も言っていますがC、E、Gの三音です。この三音が指板の上にどのように配置されているか見てみましょう。
C、E、GはCをルートにした時のR、M3、P5だということも何度も書いています。
つまりこの三音の位置が分かればあらゆるメジャーコードが弾けるはずです。(あらゆると言ってもC、C#、D、D#、E、F、F#、G、G#、A、A#、Bの12個ですが)
例えばRをCとした時、R、M3、P5の配置は以下の通りです。
(Cメジャーの構成音の図)
当然ですが上の図と配置は同じです。
ここに書かれている音を出来るだけ多くの弦で鳴らせたらコードの響きが厚くなりそうですよね。
というわけで鳴っている弦が多くて且つ4本の指で押さえられそうな形を探してみましょう。
(一つ目)
(二つ目)
(三つ目)
(四つ目)
(五つ目)
これらは全て上の「Cメジャーの構成音の図」から切り取ったので、これらの図の通り押さえればどの形でもCメジャーが鳴るはずです。
それぞれの図、見覚えありませんか?
見た目がすこし違うので見づらいかも知れませんが、それぞれC、A、G、E、Dの押さえ方になっています。
それぞれファーストポジション、セカンドポジションという風に呼ぶことがあるようなのですが、どちらかというと押さえるときの手の形(フォーム)に近いように思えますし、フォームとポジションはまた別のものだと思うので、ここではそれぞれCフォーム、Aフォームといった感じでフォームと呼ばせてください。
これら全てCメジャーの押さえ方ですが、フレットを見てみると、Cフォームが0~3フレット、Aフォームが3~5フレット、Gフォームが5~8フレット、Eフォームが8~10フレット、Dフォームが10~13フレットとなっていて、五つの形を覚えれば0~13フレットまでにあるR、M3、P5、をほぼすべて覚えたことになります。
ギターのチューニングは12フレットでオクターブするので、12フレット以降は0~12フレットと同じ形が続きます。
つまり「0~12フレットまでの音を覚える」=「12フレット以降の音を覚える」になるので、五つの形を覚えれば指板上のほぼ全てのR、M3、P5、を覚えたことになります。
(R=CとしたときのR、M3、P5の図)
ここにM7を加えればメジャーの四和音が弾けるようになりますが、M7はRの半音下なので1フレット下がればよいということになります。
(CM7の構成音の図)
これでメジャースケールに足りないのはM2とP4とM6だけになりましたが、M2はRの全音上、P4はM3の半音上、M6はP5の全音上と考えれば探すのも難しくないと思います。
(Cメジャースケールの構成音の図)
繰り返しになりますが、M3とかP5とかいうのは特定の音の名前ではなくRから数えた音の距離で、音の距離はフレットの数と一致します。(半音ズレる=1フレットズレる)
つまりRからみて相対的に決まるのでRがズレれば他の音も一緒にズレます。
ということは、CをRとしたこの形をとりあえず覚えてしまえば他の音をRにした時でも同じ押さえ方を使うことが出来るということです。
例えばGメジャーの他の押さえ方が知りたいとなった場合を考えてみましょう。
まずRの位置を探します。GはCから見た時のP5なので、上の図に見える6弦3フレットや4弦5フレットなどがGです。
(指板上のGの位置)
Rの位置を見つけたらそこに合わせてずらしていきます。
Cの場合は3弦5フレット、1・6弦8フレットがRになっているので「Cメジャーの構成音の図」の5フレット以降をコピーして0フレットに合わせてペーストすればGメジャーの構成音の位置が分かるはずです。
(5フレット以降のCメジャーの構成音の位置)
(Cメジャーの構成音から5フレット以降をずらしてコピペした図)
私の手持ちのギターを基に作った図なので22フレットまでしかありません。そのままコピーすると当然ながら音が足りません。
足りませんが先ほども書いた通り、12フレット以降は0フレットからの繰り返しになるのでコピーしてきて引き伸ばせばいいだけです。
(Gメジャーの構成音の位置)
これで22フレットまでにGメジャーの構成音がどう配置されているか分かりました。
Gメジャーにも先ほどのCメジャーと同じようにCAGEDの五つのフォームがあります。
(Cフォーム)
(Aフォーム)
(Gフォーム)
(Eフォーム)
(Dフォーム)
Gフォーム以降が12フレット以降を使った形になっていますが、先ほども書いた通り12フレット以降は0フレット以降と同じなので、以下の押さえ方と同じです。
(Gフォーム その2)
(Eフォーム その2)
(Dフォーム その2)
Gフォームが本当にGフォームになっているのが分かりますね~。
まとめの一歩手前
最初に書いた通り、あらゆるメジャーコードをCAGEDのフォームで押さえることが出来ます。つまりメジャーコードしかない曲であればCフォームだけで弾き切ることも出来ます。AフォームやGフォームも然りです。
Cフォームは5弦にRがある形ですが、これで一曲弾き切ろうとすると5弦だとBが14フレットにあるので指板の端から端までスライド移動することになります。移動が多くて大変だと思います。これを回避するためにフォームチェンジをする必要がある、ということだと思います。だから色んなフォームやフォームチェンジを練習しなきゃいけないんですね。
Uフレットの簡単コードはオープンコードが中心になっていますが、これはつまり0から大体3~4フレットくらいまでを使えば曲を弾ける、即ち移動を少なく出来るということになります。
「Fコードの壁」という言葉がありますが、Fコードの形を一切使わずに一曲弾き切ることも可能なはずです。
Fの壁が避けられない理由はいくつか考えられます。まずは左手の移動を少なくするにはCAGED全てのフォームを使わないとうまくいかないこと、セーハという技術は結局どこかで使うということ、なによりEフォームは6弦がRになるので使い勝手がいいということなどが挙げられると思います。
厄介ではありますがセーハが出来れば5フォーム×12音で60通りのメジャーコードが押さえられる、Eフォームだけは使えないという人でも他の4フォームが使えれば48通りの押さえ方が出来ることになるので十分でしょう。セーハしないで5・6弦をミュートする(または弾かない)方法もあるので問題ありません。
(省略したEフォームでのGメジャー)
(省略しないEフォームでのGメジャー)
まとめ
・ギターの特性として、同じフォームで異なるコードを鳴らすことも出来るし、異なるフォームで同じコードを鳴らすことも出来る
・ギターのコードフォームは凡そ五つに集約できる(CAGEDフォーム)
・五つのフォームの構成音を拡張して指板上の音やスケールの構成音などを算出できる(CAGEDシステム)
・複数のフォームを使ってポジションの移動を少なくすることが出来る
今回書いたことをまとめるとこんなところだと思います。
ここから違うコードを鳴らすくらいならそれほど難しくはないと思いますが、違うスケールを弾きたいとか、スケールの音を使ってソロを弾きたいとかになってくると更に多くの情報が必要になってくるので、ご自分で情報収集してみてください。
一応、メジャースケール以外のスケールやダイアトニックの話もいずれ私が知っている範囲でまとめてみようと思っているので、そのあたりの話題はもうしばらくお待ちください。