山室のフェイクニュース

酩酊状態で書いてるので自分でもよく分かってません。

なろう系小説の世界に行きたい!

なろう系小説の世界に行きたい!!

 勇者のイラスト

勇者のイラスト

こんにりは、山室です。

皆さんは「なろう系小説」、読んでますか?
私は読んでません。読んだこともありません。
ですが昨今のブームの影響で関連書籍がボコボコ出版されており、アニメ化されるものも増えてきています。

私は漫画も小説もアニメも見ない「コンテンツ浅追い人間」なのですが、あてもなく本屋に入ってみたりするのが好きなので、なろう系が流行ってるくらいのことは知ってます。

なろう系と言えば「異世界転生」。

主人公が現実世界とは全く異なる「異世界」に転生して生活というもので、大抵は転生先が剣と魔法の世界で主人公は現代の科学知識で無双するというパターンでした。
なろう系が世に出てきたときにはこのパターンがひな形のように使われていて、猫も杓子も無双していました。

フォーマット化し始めた異世界に飽き飽きした作家さんが現れ、現実世界ではなく魔法の世界から科学の世界に転生するものや、科学知識ではなく経済学の知識で無双するもの、無双しないで自給自足するものなど、「大きな横展開を見せてきたな」というのが私の印象です。

そもそもなろう系小説とは、「小説家になろう」という一般の方が自作の小説を投稿するサイトで、そこで人気を獲得した小説が書籍化されたものを指すものでした。
現在登録ユーザー数が2,095,137人、小説掲載数が890,782作品(2021年7月12日現在)と、膨大な数の小説が掲載されています。ちなみに札幌市の図書館蔵書検索サービスによると「小説」ジャンルの蔵書数は129,571件でした。札幌市にある図書館全体の小説の蔵書数の七倍近くあるってめちゃくちゃですね。

一説では「異世界ものは設定を作者の都合で決められるから事実確認が要らない」(友人談)とか「現実でうだつが上がらないから異世界で無双したいという欲求が現れている」(友人談)といった理由でサイト内に異世界転生小説があふれたとのことですが、現在では上記のように「なろう系=異世界転生」という一つのジャンルを形成していると思います。

 

大まかになろう系小説について紹介したところで表題に戻ります。
みなさんは思ったことありませんか?

「なろう系小説の世界に行きたい!!」

私はありません。
読んだことないので。
普通の人は魔法の世界に行って科学知識で無双したいんでしょうか?そもそも私は科学の知識もないし、全く知らない文化が流行しているどころか文明の素地になっている世界に行きたいとはとても思えません。

ですが先日マクドナルドで遅すぎる昼食を食べていたら近くに座っていた男子大学生っぽい二人組の「異世界に転生したら」という会話が聞こえてきて、めちゃくちゃ面白そうだなと思ったので、忘れないうちに記録しておかなくてはという義務感からこの記事を書いています。

彼らが言うには主人公になって進んだ知識や特殊な能力で無双したいわけではないのだそうです。

では彼らは異世界で何がしたいのか?

 「なろう系小説のモブになりたい」

モブというのは群衆や野次馬などを意味する言葉ですが、一般的にはアニメや漫画などで主人公やその仲間でもない背景的な扱いを受けるキャラクターを指して「モブキャラ」のように使われます。

彼らはそのモブキャラになりたいということですが、モブキャラになることにどんな旨味があるのでしょうか?

「とりあえず生活出来る」

ファンタジー軸の世界だとめちゃくちゃガリガリなのに王国の兵隊とかいたりしますよね。
きっと応募すれば即採用の国家公務員制度なんだと思います。
それかめちゃくちゃ兵力足りなくて誰彼構わず雇ってるか物資不足で栄養足りてないかなのであんまり夢はないと思います。

というか民間にゴリゴリのマッチョや最強クラスの戦士がいすぎなので国王はとりあえずヘッドハンターを雇ったほうがいい。

「勇者をヨイショしとけばいい」

これは納得です。
なろう系に限らず、ファンタジーの世界ではなぜか主人公はめちゃくちゃ有能でモブはめちゃくちゃ無能です。無能でも王国騎士団にいられるのはありがたいですが、基本的に彼らは外部の敵にめちゃくちゃ弱いし国内からの信用も薄いし大した功績もありません。「なんの成果も得られませんでした!!」はあまりにも有名なセリフです。なろう系ではないですが。

突然現れた超有能で頼りがいのある主人公を、部外者であるにも関わらずヨイショしまくれば物語として成立する、どころかモブの盛り上げによってめちゃくちゃ場面が映えるというのはやりがいありまくりですね。

「さすが勇者様だぜ!!!」とだけ叫んでその日の業務終了とかありそうでいいですよね。

エイサーのイラスト

エイサーのイラスト(太鼓持ちではない)

「もっと言えば王様や騎士団長に乗っかってればいい」

確かに。
先程触れたように主人公は有能ですが飽くまで部外者。王様や団長がぞんざいに扱うなら同じようにすればいいし、彼らが主人公を認めるなら一緒に祝福すればいい。
むしろ王様や団長に逆らうとその場で首を切り落とされたりするので、「積極的に引っ付き虫になった方がいい」というのがモブの宿命です。
ただ長い物に巻かれないと殺されるのは現実世界でも同じだし、現実世界だと「物理的には死なないけど社会的に殺される」ということが往々にして行われているので、これはモブというよりも「持たざるもの」の宿命と言ったほうがいいかもしれません。

長い物に巻かれないで「命がもったいない!!」と悪魔の実の能力者の前に飛び出してみるのもスリル満点かもしれませんが。

 「怖い上司があんまりいない」

これは盲点でした。
大抵の物語にめちゃくちゃ怖くて強い兵長が付き物のような気がしますが、めちゃくちゃ怖いのは外面だけで、主人公が得体の知れないよそ者だからきつく当たっているというのが実態だったりもします。
ガリガリで戦場で役に立たない兵士も居続けられる環境であるということからも鬼兵長や鬼教官は仲間思いで身内には優しいことが伺い知れます。

「そもそも居なくてもいい」

ものすごい諦念。
居ないんだったら別になろう系小説じゃなくてもいいのでは?とも思いますが、これはモブならではの発想でしょう。
普通に騎士団員だったら重要な作戦や集会には絶対出席しなくてはなりませんが、モブであれば「そこに描かれない」という自由が発生します。
もちろん自分の意思で存在していないわけではないでしょうが、「不定期に」「作者の都合とはいえ」「登場しなくてもいい場面がある」というのは確かに魅力です。

自分の存在が人の都合でめちゃくちゃあやふやにされるというのは普通に考えれば恐怖ですが、そこを強みに変換出来る発想力は見習いたいですね。

 

とまあ、ここまで聞きかじった話と見知った話だけで書いたので実際のなろう系小説の世界とどこまで合致しているかは知りませんが、「なろう系小説の世界のモブ」めちゃくちゃ魅力的ですね。

みなさんも「小説家になろう」に自作の小説を投稿したり、お気に入りの小説や作家さんを探してみて「こんな世界に行けたらなあ」と妄想してみてはいかがでしょうか?

 

私がなろう系小説の世界に行くなら「最初のダンジョンに主人公の一団の前に入っていく噛ませグループの一人」になりたいです。
リーダーが「へっ、お前らそんな装備でこのダンジョンまで来たのかよww」と言ってるのを後ろでニヤニヤしながら佇んでいたいです。
あわよくば一人だけ生き残って主人公の一団に「お前ら!!悪いことは言わねえから今すぐ帰れ!まだ引き返せる!」とだけ言って二度と物語には登場したくないです。きっと田舎に帰って畑仕事でもしながら余生を過ごしてると思います。
田舎が始まりの村だったりすると「次世代の物語の語り部」ポジションも狙えて美味しいと思います。

私「わしは一度だけあのダンジョンで勇者様と会ったことがある・・・」
孫「え?!勇者様が最初に攻略したって言うあのダンジョンにおじいちゃんも行ったの?!」
私「昔の話じゃよ・・・」
孫「俺もいっぱい修行して勇者様みたいになるんだ!!」
私「ほっほっほ。先が楽しみじゃのお」

って死にたいです。

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故人を思い出しているイラスト